満員御礼なのはなぜ?
横浜馬車道のレストランで年3~4回コンサート演奏するようになって、10年以上が過ぎました。きっかけは仕事関係者の繋がりからでしたが、今ではすっかり私のライフワークになりました。追加メンバーとしてバンドには途中からの参加だったのですが、最初はとても不思議に思っていた事があります。それはコンサート宣伝が口コミだけなのに、毎回たくさんのお客さんが押し寄せること。時には100人超えの定員オーバーでお客さんを断ることもしばしば。チケット代は安くはないのに常に飛ぶように売れるのです。学生時代のバンド経験からコンサート集客の大変さを知っていたので、このあり得ない集客力に面を食らっていました。
そして集まったお客さんのハシャギっぷりにも驚かされました。おくゆかしい日本の国民性は皆無。初めの数曲はおとなしく席で食事をしながら聞いてくれていますが、そのうちに次々と席を離れ、思い思いのステップで踊り出し、コンサート終盤では踊るお客さんでフロアーがギュウギュウ。ここはキューバか、ブラジルか?状態。
そして、「あ~、今回も楽しかった!」と満足そうに帰られます。
このバンドにいったい何があるのか。
3時間弱のコンサートに何を期待してお客さんが集まるのか、今は知っています。
バンドの主要メンバーは地元の60歳越えの3人。
そのメンバーが地元友人に声を掛けてお客さんが集まります。
日常を忘れ、気兼ねなくはじけられる大人の遊び場が容易に見つからない昨今、年に数回開催されるこのコンサートに地域のおじちゃん、おばちゃんがオシャレしてやって来て『ハレ』を楽しむのです。70、80歳代の方もいらっしゃいます。
そして、先輩世代が楽しげに踊る様に引っ張られて若者客も恥ずかしい気持ちを抱えつつ恐る恐る音楽に合わせて踊り始め、その楽しさが次々と伝染していきます。その様子をステージから眺めるのが毎回の私達メンバーの楽しみです。
こうしてお客さんの連鎖でこのバンドは集客に困らない。
最近、町のあちこちにデイサービス施設が目立って増えてきました。
高齢者の閉じ籠り防止や社会交流の場としてとても大切な施設ですが、ハードばかり増やしてソフト面はどうなっているんだろうかと気になります。
そこで行われているカリキュラムは、高齢者だから~と決めつけた内容ばかりに偏ってないのかと、ガラス越しに見える退屈そうなおばあちゃんの表情につい思ってしまいます。
コンサートに来てくれる同世代のお客さんと比較してしまうのです。
人には『ハレとケ』が必要。
高齢になっても同じこと。
時には心踊る時間がなければ辛いことも乗り切れません。
これから歳を取り、私がデイサービスにお世話になるかもしれない時、童謡を唄うばかりじゃなく、時にはジプシージャズのリズムに足を鳴らしてワクワクしたり、若き日々を想いながらスティービーワンダーのStay Goldを合唱させて欲しい。
そういう未来を実現するのは大変なことなのでしょうか?
もうすぐ秋の定期コンサートです。
「あ~、今回も楽しかった!」の声を沢山聞けるように、さあ練習、練習。
(鈴木洋子)
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