真夏の身体

自宅であるLOVE HOUSEでは、7月後半から暑い日が続いているが、

今年はまだ1度もエアコンを使用していない。

昼間はもちろん暑い。夕方徐々に涼しくなってくるが、本当に徐々にだ。

本を読んでいると、暑さの中段々ぼーっとしてくる。

しかし、それがたいへん気持ちのよいことだと最近つくづく思うようになってきたのだ。ぼーとしてくるのは体と頭の中のイメージの両方で、これは夏特有の身体感覚であることに気付くのである。しかし、ぼーっとしている時間も過ぎてゆくと、気温が少しずつ下がってくる。ほんの少し気温が下がっただけなのに、ぼーっとしていた状態から回復してくる。そういうことに気がついてから、ぼーっとする時間帯に読むのは写真の多いものや内容のゆるいもの、回復してくる時間帯には文字が多かったり集中力を要するものというように、読む本を変えたりしている。

気温や気候とともに生きる身体とはこういうものだということが、LOVE HOUSEに住んでいると体で発見することができるのだ。これはたいへん楽しい。LOVE HOUSEをつくった2004年頃には「屋内と屋外の建築」ということを言いはじめて、最近は「建築と都市よ、気候とともにあれ」という言葉を発したりしているのは、生活が気候とともにあるということをLOVE HOUSEで実践していることから自然に出てくるわけだ。

かたい話に脱線したが、もとに戻ると、暑い時間帯にぼーっとしている身体が、涼しくなると回復してくるというパターンだけではない。暑い時間帯にぼーっとしてきてそのまま寝てしまうというパターンもある。1時間弱くらいして、目を覚ますと寝たということと気温が少し下がったということがダブルで効いて、たいへんスッキリするのだ。1時間前に比べてほんの少ししか気温は下がっていないのに、スッキリと本が読めるのだ。暑いということに体が対応して普通に居られる状態を獲得しているのではないか。なんと新しい身体とでもいうような状態を獲得することができるのだ。僕は、こんな感じで屋内と屋外の建築で、気候とともにある建築と身体を楽しんでいる。

夜中、ウイスキーを飲みながらスケッチを描くのが好きだ。スッキリした身体を獲得したあとで、またぼーっとした時間がはじまるという喜びの発見。なんという幸せ。

私が設計した山梨県富士河口湖町の「ほうとう不動」はエアコンがないということなど、自然な状態に近い建築であることを重要なコンセプトとしている。この真夏も自然の空気の中でほうとうを食べている。この素晴らしさを是非体験して頂きたい。

LOVE HOUSEにて

(保坂 猛)

2011/08/20

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