スローとファースト
何年か前からスローライフとかエコライフ、ロハス等という言葉を良く耳にする。
その意味するところはわからないし、ライフスタイルと称して、生活やデザインをスタイルでジャンル分けすることには疑問を感じる。
そのこととはあまり関係のないこじつけだが、私は元来何をするのにも時間が掛かる。かなり意識的に速くしているつもりでも、いつのまにか遅くなってしまう。
食事、身支度、行動、歩くこと、思考等標準よりは相当遅い。
勿論、周囲の人たちには大いに迷惑なことであることは間違いない。
しかし、この頃の「スロー」というキーワードは私のように動作が緩慢な者にとっては市民権を得たようにうれしい。と、その意味はわからずに勝手な解釈をしているのである。
さらに話は飛躍してしまうが、車の運転速度も無論のこと、遅い。
昨年までは現場に行くのに相当古い軽自動車で行くことが多かった。
少々狭い道路でも止めやすいし、現場で埃を被った服や泥だらけの靴でも気兼ねなく乗り込める。車にはカタログ、サンプル、図面、資料などが満載だがスピードも馬力も私の運転では事足りた。
よく働いてくれた「軽」もエンジンは唸る、内装も落ちかけ流石に不安と体裁の悪さはぬぐえない。幹線道路ではあまりの遅さに他の車にも大いに迷惑だ。
現場打合せの帰り際に、建主さんの格好良い外車と鉢合わせするとマイカーのみすぼらしさが倍増する。ショボッ!!
そんな私にも、遠方へ高速道路を使って度々行く仕事が生じ、将来長く続きそうなので、道中に少しは変化と楽しみが欲しくなった。
それで、最近衝動買いのようにオープンタイプのスポーツカーを購入した。
車のことは良くわからないが、仕様は3,000cc、231馬力、なのに2シートしかないのである。タイヤも何だか大きく幅がかなり広い。軽自動車との落差は相当ある。
家族、スタッフ、知人、皆驚いていることは言うまでもない。
量販店のバーゲンで買ったTシャツなど着て乗っては合わないよ、とも言われた。
結局、衣服までもこれに合わせて出費がかさむとは、予定外だ。
高速道路でも80km/h以上出すとハンドルが緊張で汗まみれになる私にはおよそ相応しくはない。
やはり安全第一、あまりスピードを出すことはないだろう。
しかし、「スロー」な私の所作が車に刺激を受けて多少なりとも速くなり、廻りに迷惑をかけなくなれば良いのかなと思っている。
(豊田 悟)
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