韓国語学習の勧め

<韓国ブーム>

 「冬のソナタ」の地上波放送は先日終わりましたが、ドラマ、映画を中心とした韓国ブームはまだまだ続きそうです。かってかの国は近くて遠い国と言われていましたが、2002年のサッカーワールドカップ共催の頃から好ましい流れができ始め、今や韓国は日本の人々にとって意識の上でも最も近い国になろうとしています。

 そんな中、表面的に韓国を知るだけでは物足りなく感じ、韓国語を勉強しようという方も増えてきたようです。私にも以前に個人的な興味から多少勉強した経験がありますので、これから韓国語を学ばれるかもしれない方々に、その魅力の一端をご紹介したいと思います。

<ハングル>

 韓国語と聞いてまず皆さんは何を思い浮かべるでしょうか?丸や棒を組み合わせたような独特な文字、ハングルかもしれません。英語や中国語などであれば、一目見てその正確な意味や読み方が解らなくても、その雰囲気位は想像できる場合があります。一方ハングルとなると知らなければ皆目解らない、だからとっつき難い、そう思われる方が多いようです。しかしこのハングルこそ、外国人が韓国語を学ぶ際に大きな助けとなるのです。

 世界中の多くの文字は自然発生的にできたものですが、ハングルは560年程前に当時の王とその命を受けた学者達が作り上げたと言われていて、非常に合理的にできています。基本的にはひらがなと同じように言葉の発音を表す表音文字ですが、発音記号の如く音素ごとに形が決められているので全ての文字を丸暗記する必要はなく、例えばロ=m、ト=aのように部分が解っていれば、その組み合わせから成る全ての文字を理解する事ができます。韓国語は日本語より発音の種類が多いので正確な発音を習得するのはそれなりに難しいのですが、カタカナ読みのレベルであれば小学生でも一日で覚えられてしまう程です。

 さらにハングルには元々漢字の発音記号としての性格があり、一字の漢字には一字のハングルが対応するようになっています。韓国語の漢字は日本語のように何種類も読みがあるという事はなく、原則として一つの字には一つ、多くても二つ程度の読み方しかないので、ハングルとの交換は非常に滑らかです。日本語でひらがなだけを使って長い文章を作ると幼稚園生が作った文章のように不自然なものになってしまいますが、ハングルであれば通常それだけで小説でも論文でも十分に仕上げる事ができます。

 皆さんが韓国へ旅行される際には、事前に韓国語会話の学習までする余裕がない場合でも、ハングルの基本を頭に入れておく事をお勧めします。

<文法>

 どの国の言葉にも文法があり、その例外というものもまたあるので、難易の比較は簡単にはできません。しかし日本人にとっては確実に韓国語の文法は易しいと言う事ができます。何故なら日本語の文法とそっくりだからです!

 例えば中国語の文法は比較的単純と言われていますが、文章を作るとなると相当に勉強した人でも日本語との違いに苦労する事が珍しくありません。また文法的には正しくても中国人は普通そういう言い方はしない、などという事も多く、一旦作った文章でもこれで本当に良いのか、自然な中国語になっているのか、という悩みが付き纏います。

 韓国語と日本語については、語彙の面ではかなりの違いが見られるものの、文法の面では恰も兄弟のように似ています。ですから日本語を韓国語に翻訳する場合など、単語を入れ替えて同じ順番で並べていけば、大抵の場合はそのまま自然な韓国語とする事ができます。言葉とそれを使う人との距離感とでも言うべきものが、日本人にとっては母国語である日本語の場合と非常に近いのです。その為、韓国語を使う際のストレスは他の外国語に比べて格段に少ないと言えるでしょう。これは慣れてくると一つの快感で、私のように拙い韓国語しかできない場合でも、知っている範囲の単語を並べてさも達人のように振舞ってみたくなったりします。

 一般的にヨーロッパの人々にとっては、母国語だけでなく近い国の言葉をいくつか使うと言う事はそれ程珍しくないようですが、日本人が韓国語を使う場合もこれと条件が似ているかもしれません。

<学習の勧め>

 如何でしょう。この文章を読んで頂いて少しは韓国語が身近に感じられたでしょうか。もしそうであれば大変光栄です。私が10年近く前に韓国語を勉強し始めた時には、私塾として韓国語を教えてくれる所は住んでいた仙台中を探しても数える程しかありませんでした。それが今では駅前にチェーン展開する外国語学校でも韓国語を学べます。またNHKのラジオやテレビの講座を使えば、時間や費用をかけずに気軽に学ぶ事も可能です。少しでも興味をお持ちの方は是非、韓国語学習に挑戦してみて下さい。

 余談ですが、冒頭に書いた「冬のソナタ」の主人公チュンサンを演じたぺ・ヨンジュン氏は、とても魅力的な声の持ち主です。日本語の吹き替えしか聞いた事のない方は、一度彼の韓国語の響きを聞いてみて下さい。そんなところから外国語に親しんでいくのも素敵な事ではないかと思います。

<付記>

 今回は皆さんに韓国語を身近に感じて頂きたいという趣向から、主にその易しさについてご紹介しました。しかしながら私にとって普段使わない外国の言葉には違いないので、接していてその独特の難しさを感じる事も多くあります。方手落ちにならないよう、次の機会があればその辺の話題についてもご紹介させて頂きたいと思います。

 なおこの文章で韓国語という言葉を使い、韓国という国の話題に触れた事には政治的な意味は一切無く、たまたま私個人にそうした経験があったという事でしかありません。一々このような断わりをしなくても済む日が来る事を、隣国の一市民として強く希望しています。

(栗原正明)

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