身近な景観問題

「景観法」というものが昨年制定されて今まで各地方自治体の景観条例などで定められていたもの(例えば建物の色彩や屋根形状、壁面後退の制限など)の法的な裏づけとなって今後強制力が強められるとのことです。とても歓迎すべきことだと思いますが少し遅すぎたかもしれません。

住宅を設計する立場から、外観や外構などで周辺の街並みに対して少しでも貢献したいとは常々考えてはいるのですが、小さな1つの建物だけでは景観とまでは遠く及ばず、普通に何も考えずに建っているような家の前に、たまたま立派な街路樹が一本植えられているだけでそちらの方がひどく立派に見えてしまったり、、、とても悩ましいところです。

街の景観を考える場合、建物以上に問題視されるのは屋外広告やストリートファニチャの類です。ちゃんと限られた場所での繁華街の猥雑さは嫌いではないのですが、地域性に関係なく郊外の幹線道路に立ち並ぶ赤や黄色のキワモノ的な広告類にはうんざりさせられてしまいます。今後は広告業者への規制も強められるようなので少しはましになることが期待できるでしょうか。

わが横浜は景観に関しての取り組みはなかなか先進的なようで、最近の好例では、バス停留所のデザインはシンプルかつ機能的で、さらに広告掲示用のポスターケースを組み込んで収入までもたらしてくれるという秀逸なデザインとなっています(掲載されるポスターもデザイン性の高いものに限られているようですね)。ああいった街にありふれたもの(電柱、標識、自販機やガードレールなんか)にこそデザインが必要で、機会があればぜひやってみたいものです。

最近、私の住む街の某スーパーの大看板が一夜にして別のロゴデザインのものに変わってしまうという、ちょっとした事件がありました。全国各地で同時多発的に行われたことだと思うので皆さんお気づきのことと思います。コンビニ+スーパー+ファミレスの企業吸収合併によるものですが、いまだに見る度に別の街に来てしまったような違和感を感じてしまいます。以前のロゴデザインは、意外とグラフィカル的にも配色的にも大変よくできたものだったように思います。入れ替えられたもののデザインがなんともおざなりで打算的なものに見えるのでなおさら残念に感じます。良くも悪くもこのように街の景観、ランドマークとして機能していたものが、一企業の都合だけで簡単に変えられてしまうというのもやはりおかしいですよね。

(水口裕之)

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